おしらせ
- 平和と市民自治 NO.37 2025年10月28日より
- 〔1面〕
8月議会で追及
訪問介護事業所支援、市民活動センターのあり方、成年後見人制度
市民の立場に立つ大津市政を
市民の声で- 皆様。会ニュース37号をお届けします。
8月大津市議会は10月28日に閉会しました。国民スポーツ大会開催のため2度の「休会」があり大変長い議会となりました。9月16日(火)の一般質問や施設常任委員会開催の際には多くの方に直接議場で傍聴、またはネットで傍聴をしていただき大変力になりました。ありがとうございました。
今回の議会で特に感じたのは、市民の活動や生活に関わる市の意思決定や支援が市民の立場に立って行われていない、ということです。この姿勢は正していく必要があります。11月21日(金)から始まる11月議会でも、市民の立場で皆様の声を議会に届けてまいります。
- 8月議会での質問・追及
①介護就職等支援金の復活と訪問介護事業の市独自支援を追及
今年度から打ち切られた市独自施策・就職等支援金の復活と昨年の訪問介護報酬の引き下げによる事業者の減収補填を行う大津市独自の施策を求めました。
答弁で、市は昨年までの1500万円の就職支援金給付事業の打ち切りが、就職しても定着していないためと答弁。しかし、元々、市は就職と定着を別の事業として実施しており、その理由は間違いだと追及。市は就職支援は一定効果があり事業者からも評価いただいたと修正せざるを得ず、元々国の交付金で始めて市単独事業になったことなど総合的に判断して打ち切ったと弁明。効果のある事業でも市の持ち出しを減らすための道理のない打ち切りであったのではないかとの疑念を抱かせるものでした。また、独自支援は行わないと答弁。すでに社会的インフラとなっている介護事業をまもり介護難民を出さない独自施策に背を向けました。
※関係憲法条項:第25条(生存権)等
②利用者の立場に立った市民活動センターのあり方を追及
今春から廃止のうわさの流れた大津市市民活動センターの見直し問題について、行政の意思決定過程の問題とまち協支援などと市民活動センターの活動のあり方について追及しました。
再質問と再々質問を通じて、大津市の方向性として以下の点を明らかにできました。
●市民活動センター見直し問題は、活動利あり方にとどまらず施設(印刷などの作業ルーム、メールBOX、スモールオフィス、会議室など)についても見直しの対象であること。
●利用者団体との意見を聞く場は持つ。
●指定管理方式は打ち切る方向であること。
●見直し理由が「まち協支援ができていない」などの、本来の主要な市民活動センターの事業でないところを問題視していること。
●「限られたリソース(資源)を最大限使っていく」との答弁から、見直しの背景には限られた財源含めた資源をほかの分野に使うという市民活動支援の削減もあることを感じました。
※関係憲法条項: 第14条(平等の原則)、第21条(表現の自由)、第25条(生存権)など
③成年後見人等報酬助成金の実態に沿う拡充を追及
大津市成年後見人等報酬助成金交付要綱の助成金を在宅でも施設でも同額にすること、交通費も支給することを求めましたが、答弁は、いずれも予定はないというものでした。
※関係憲法条項: 第11条(基本的人権の保障)、第13条(生命、自由及び幸福追求権)、第25条「生存権」
※成年後見制度…認知症や知的障害などの理由で判断能力が不十分な方のために、家庭裁判所で選任された後見人等が、成年被後見人等(以下、ご本人)の財産管理や契約等の法的な保護と生活支援を行い、ご本人の権利を擁護する日本の重要なセーフティネットの一つです。超高齢化の進展で成年後見制度の充実と社会福祉士などの専門職の後見人等の需要は一層高まっています。
※質疑の全文は当会ホームページに掲載しております。
なお、公式記録ではありませんのでご了承ください。
9月16日、中川てつやの一般質問の様子 ↓
〔2面〕
◆自主運営避難所として自治会館改修を要望◆
(10月10日開催 市議会防災対策特別委員会)
委員会では、自主運営避難所支援やペット同行などが討議されました。私は、能登半島地震の経験を踏まえ、「場所(避難所)の支援から人(避難者等)の支援」へと考え方の転換が必要であり、指定避難所以外にも自主避難所や車中泊、在宅の避難者に対する支援を強めるべきと質問・要望しました。特に、坂本1区の例を示しながら、自治会館を自主避難所として位置づけ、自主防災会などの力を引き出すため、老朽化する自治会館を防災の観点から改修の支援を行うことの重要性を訴えました。
=声= 市民活動センター見直し?? 切り捨てはやめて!
明日都1階にある大津市民活動センターがなくなるかもしれない,そんな噂が広がってきたのは、年度はじめ間がない頃だった。
様々な関係者に問い合わせたところ、どうも決定事項ではないが、2026年度から市民活動センターの運営方法など全般を見直すようだとわかった。そこで、センター存続を心配する利用者がそれぞれ連絡し合うようになった。
7月、それぞれが市に対して説明会を開くよう要望し始めた。
9月、市議会本会議で中川哲也市議がこの問題を取り上げ当局を厳しく追及してくれた。
9月25日、ついに市民部次長が利用者に説明する「意見交換会」を開かざるを得なくなった。
急な告示にも関わらず50人近い市民が詰めかけた。次々に発言し質問も途絶えなかった。次長は2回目の「意見交換会」を約束する羽目になった。
10月9日、利用者有志で市長と市民部長に宛てた要望書を提出し記者会見を開いた。京都新聞は翌日,大きく報道してくれた。
要望書は、市民と協議を続け納得が得られるまで現行継続を求めている。ネット署名も始めた。
大津市は大津市総合計画で公共施設・インフラの適正維持を掲げ2042年までに公共施設に係る将来コストを30%削減目指している。水道施設統廃合や昨年度途中での逢坂保育園休園もこの方針に基づいているのだろう。
市民生活を切り捨てていく大津市の方針は間違っている。
〔3面〕
シリーズ とことん憲法生かす市政を その36
「市民参加と地方自治」を考える
これでいいのか!?
形だけのパブコメ、決定事項伝達の説明会…
私たちの暮らしの未来は私たちの手で!
▶自治って?
「自治」とはなんでしょうか。「自」は「みずから」、「治」は「おさめる」の意味があり、読んで字のごとく自分たちのことを自分たちで決定・運営する仕組みや能力を指す言葉です。自分たちで決定すると言っても、勝手にやるのではなく、構成員に対する情報公開や話し合いと合意形成を行うプロセス、その結果に対する説明責任などが伴います。それらがないと、形ばかりになってしまいます。
▶強まる市民不在の施策決定
これは地方自治体の政策決定にあたっても同様です。しかし、昨今の大津市の施策決定は、これらが踏まえられていない場合が多いと感じます。
昨年度の逢坂保育園の休園(実際は廃園)は特に顕著でした。市は、当該保育園の職員や保護者、地元自治連合会にも事前に一切知らせず、7月末に突如「休園」を通知。保護者や市民から、6,269筆もの多くの反対署名が市長あてに提出されましたが、当事者(保護者とこども)の声は一顧だにされることなく、「決定事項だ」と強行され、2年連続待機児童全国最多という状況にも関わらず、最も必要な乳幼児専門の保育園を実質廃園にしてしまいました。
また、今年4月からは、市の独自施策で、事業者からも評価され効果を上げていた介護就職等支援金の打ち切り(1面参照)も、必要とされる施策なのに市民の声を聞かないという点では同じです。
今回の市民活動センターの施設の改廃や運営方法の見直しの問題(1面参照)も、利用者団体や市民から要望書が出されなければ、意見交換会(9/25)も開催されなかった可能性もあります。
現在の大津市政は、行政の意思と施策決定が市民不在のままで進んでいく傾向は強まっているのではないかと危惧しています。
▶地方自治の本旨
憲法92条は、自治体の運営は地方自治の本旨に基づいて行うとしています。この「地方自治の本旨」について憲法は直接に定義していませんが、学説上、「住民自治」(同93条) と「団体自治」(同94条)が、車の両輪のように「地方自治の本旨」を構成するとされています。住民自治とは、自治体の政治や行政を住民の意思に基づかせるという制度設計であり、国民主権の地方的発現です。他方、団体自治とは、自治体が国から介入を受けることなく自律的に行動できることを言います。
その意味で「地方自治の本旨」は、憲法の原理である個人の尊厳を基礎に、国民主権、自由・平等にわたる人権の保障、そして平和主義が、地方政治においても実現・確保されなければならないことを憲法が要請していると解されるのです。
▶市民の声を聞くことは自治体の責務
自治体の意思や政策決定過程において、住民が自らの生活や地域社会に関わる政策に対して意見を表明し、その意見を反映させることは、憲法に定める「地方自治の本旨」に基づく不可欠で重要な要素です。
近年、多くの自治体において、形ばかりのパブリックコメントや形式的な説明会を実施し、市民の意見を反映することなく政策を決定する事例が増えています。このような行為は、「地方自治の本旨」に反するものと言わざるを得ません。市の施策は私たち自身の暮らしの未来を決めるものです。そこに市民の意見が反映されないことがあってはなりません。
私は、重要な行政の意思決定の際に市民の意見を反映させ、「憲法をとことん生かす市政」を実現するため奮闘してまいります。
- 〔4面〕
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
中川てつや短信 地域の相談案件の解決へ頑張ってます
議員活動も2年半を過ぎました。地元・坂本学区の皆さんや市内の各地域・職種の方から、たくさんご相談を受けています。市の各種制度や助成金の問題、介護保険の利用や疑義、グレーチングなど道路側溝、市道や歩道及び通学路の安全対策、買い物難民対策、高齢者の移動手段の確保、坂本1区の水害対策のための水路拡幅など諸要望、視覚障害者の方のバリアフリー対策などなど…。
実現できたものや、私の力不足で実現できていないものもありますが、今後も皆さんの要望を実現するよう、地域の皆さんとともに頑張ってまいります!
〈トピックス〉
初の本会議で質問・要求から1年
8月議会で条例提出 災害関連死審査会設置を実現!!
大津市議会8月通常会議に、「災害関連死審査会」を設置する条例案が提出され可決されました。
私が昨年の8月議会で質問として取り上げ設置を要求していたもので、1年越しの実現で、大歓迎です。
災害関連死は、避難生活の疲労やストレスなどが影響して亡くなり、災害が原因と認められた事例を指します。昨年の能登半島地震では、災害関連死は428人で災害時の死者のうち65%という大きな割合を占めています。
大津市では、2013年の台風時に全国で初めて「大雨特別警報」が出され甚大な被害を経験し、各地の地震のたびに災害対策の重要性が議会で質問され、市当局もその重要性を答弁してきました。しかし、災害関連死審査会は、これまで市当局も議会からも取り上げられることはありませんでした。
この問題を正面から取り上げ、実際の対応や審査会のメンバーの確保含めて追及し、「(設置に向けて)検討を始める」と答弁を引き出したのは、私が初めての議員となりました。今後とも防災対策の強化へ引き続き取り組みを強めます。
- 皆様。会ニュース37号をお届けします。
〈大津市議会 2025年8月議会〉
中川てつやの一般質問 9月16日(火)
以下の通り行いました
9月16日(火)に私の一般質問をしました。今回は、以下の3点です。
1. 今年度から打ち切った市の独自施策・就職等支援金の復活と昨年の訪問介護報酬の引き下げによる事業者の減収補填を行う大津独自の施策を求めました。
答弁で、市は昨年までの1500万円の就職支援金給付事業の打ち切りが、就職しても定着していないためと答弁。しかし、元々、市は就職と定着を別の事業として実施しており、その理由は間違いだと追及。市は就職支援は一定効果があり、事業者からも評価いただいたと修正せざるを得ず、元々国の交付金で始めて市単独事業になったことなど総合的に判断して打ち切ったと弁明。効果のある事業でも市の持ち出しを減らすための道理のない打ち切りであったことをにおわせました。また、独自支援は行わないと答弁。すでに社会的インフラとなっている介護事業をまもり介護難民を出さない独自施策に背を向けました。
2.今春から廃止のうわさの流れた大津市市民活動センターの見直し問題について、行政の意思決定過程の問題とまち協支援などと市民活動センターの活動のあり方について追及しました。
再質問と再々質問を通じて、大津市の方向性として以下の点を明らかにできました。
・市民活動センター見直し問題は、活動のあり方にとどまらず施設(印刷などの作業ルーム、メールBOX、スモールオフィス、会議室など)についても見直しの対象であること。
・利用者団体等の意見を聞く場は1回限りでなく必要に応じて持つこと。
・「できる限り柔軟な対応」のため、指定管理方式は打ち切る方向であること。
・見直し理由が「まち協支援ができていない」などの、本来の主要な市民活動センターの事業でないところを問題視していること。(もっとも、市は「市民活動センターでも、対応をきちんとしていただければというような思いがある」などと、全面的に認めているわけではありませんが)
・見直しの背景には、限られた資源(財政面含めて)をほかの分野に使う「限られたリソースを最大限使っていくこと」という市民向け費用の削減もあることを感じました。
3. 大津市成年後見人等報酬助成金交付要綱の助成金を在宅でも施設でも同額にすること、交通費も支給することを求めました。
答弁は、いずれも予定はないというものでした。
◆中川てつや一般質問 質疑全文(PDF) →こちらから
◆大津市議会議会中継システム →こちらから
※掲載の質疑は公式記録ではありませんので、ご承知ください
- 平和と市民自治 NO.36 2025年7月22日より
- 〔1面〕
〔6月議会で追及〕
▶待機児童問題、就学援助制度、保険証資格確認書
国に追随せず、憲法を生かした
主体性ある大津市政を●●●- 皆様。会ニュース36号をお届けします。
6月大津市議会は7月3日に閉会しました。6月16日(月)の一般質問の際には多くの方に直接議場で傍聴、またネット視聴をしていただき大変力になりました。ありがとうございました。
- 6月議会での質問・追及
①公立保育園の児童の受け入れ体制充実で待機児童解消を追及
大津市の今年の待機児童は、全国最多だった昨年より約3割減少しましたが、132人と高止まりで推移。1歳児が待機児童全体の6割を占める構図は同じで、注目しなければならない点は、前年より隠れ待機児童(希望園に入れていないが市の判断で待機児童とされない)が73人も増加し、待機児童と隠れ待機児童の合計の保留児童数では21人増えて537人となったことです。これでは手放しで喜べません。民間園の増設支援だけでなく、入所率6割の公立園の受け入れ拡大に全力を注ぎ、正規保育士と非正規雇用である会計年度任用保育士(注)の待遇改善を行えと追及しました。(3面関連記事参照)
◆関係憲法条項:第13条、25条ほか
②就学援助制度の充実を追及
就学援助制度(注)が周知されていない、または家庭の状況を知られたくないことにより申請しないことを解消するために世田谷方式(注)を参考に変更できないか、また対象世帯の所得を生活保護基準の1.2倍から拡大するようにと質問しました。
答弁は、「現行制度の維持を優先する」として「変更する予定はない」とのこと。一方で、「保護者の方がより申請しやすい方法となるよう、他の市町の実施状況についても情報収集を行ってまいります。」との答弁も引き出しました。世田谷区の全員提出方式で申請しやすい環境づくりを再質問したところ、「職員及び学校の負担がかなり増大し入力等の設定作業にも時間を要するので想定していない」と事務作業面で否定しました。しかし、人口95万人の世田谷区の1/3の大津市でできないはずがありません。今後も情報収集含めて追及します。
◆関係憲法条項:第26条「教育を受ける権利」
③国民健康保険資格確認書の一律発行を追及
7月末に国民健康保険証の有効期限が切れることに伴い、資格確認書を全員に一律発行するよう求めました。
答弁は、「マイナ保険証を持たない方に送付するためのシステム改修を既に終えており、全被保険者へ送付することは効率的ではない」「国民健康保険法第9条で資格確認書交付対象者を「電子資格確認を受けることができない状況にあるもの」と定義していることや、マイナ保険証を利用することで様々なメリットがあることを踏まえ、一律交付はしない」でした。
しかし、通知の国民健康保険法第9条はマイナ保険証を所持していない者だけを指しているのではなく、様々な事情で資格確認できない者も含まれており、後期高齢者医療保険では国が一律発行をきめており理由になりません。さらに、メリットがあるなら、なぜ4人に3人は現行保険証を使用しているのでしょうか。論理的にも整合性のない答弁で、保険医療を保証する立場よりも国に追随する姿勢を露わにしたものでした。
◆関係憲法条項:第25条「生存権」
(注)
※就学援助制度…公立の小中学校に就学している児童・生徒が必要な学校給食費の実費分や新入学学用品費やクラブ活動などの経費の一部を援助する制度で、生活保護受給者や自治体が認定する準要保護者が対象。準要保護世帯は自治体によって基準が異なり、全国では6割以上の自治体が認定基準を生活保護基準の1.3倍以上としているのに大津市は1.2倍のままです。
※世田谷方式…東京都世田谷区で行われている全員に申請書を配り、全員から就学援助の申請の有無を封書に入れて回収する仕組み。誰が希望しているのか学校にはわからず、全員が提出するため支援を受けられる状況の人で希望する方が、その網からこぼれることを防ぐことができます。
※会計年度任用職員…一会計年度を任期として雇用される非正規雇用公務員。
※質疑の全文は当会ホームページに掲載しております。
なお、公式記録ではありませんのでご了承ください。
〔3面〕
シリーズ とことん憲法生かす市政を その35
子どもの保育を受ける権利と保護者の労働・子育ての確立のために
待機児童数132人で高止まり
隠れ待機児含めれば21人も増加!
逢坂保育園再開・公立保育園充実を
基本にした大津市の保育政策を
▶待機児童高止まり 隠れ待機児童増加
大津市は、昨年全国最多184人の待機児童数を記録し、その対策を最重要課題と位置づけて取り組んできました。6月5日公表の今年の待機児童数は、昨年から52人約3割減少したものの、132人で、隠れ待機児童含めて537人と、高止まりで推移していることが明らかになりました。その内訳は1歳児が79人、2歳児が50人、3歳児が3人となっています。1歳児が待機児童全体の6割を占める構図は昨年と同じです。隠れ待機児童でも全体405人のうち、1歳児が182人と45%を占めています。
公立保育園全体では今年の受け入れ児童は12名減っており、0~2歳に限っては31名の増ですが、最も待機児童の多い1歳児は2名しか増えていません。
そして、一番、注目しなければならない点は、前年より隠れ待機児童が73人も増加し、待機児童と隠れ待機児童の合計である保留児童数では21人増えていることです。これは、大津市への子育て世代の転入が多いからです。大津で子育てをしたいという期待にきちんと応え、保育も親の就労も保証していくためには、待機児童だけでなく隠れ待機児童を含めた抜本的な対策が問われているのです。
▶待機児童問題は公立保育園の問題
市内の民間保育施設は入所率98.7%に上りますが、公立保育園は入園希望があるにもかかわらず入所率は64.9%にとどまり、513人の児童の受け入れができていない状態にあります。特に0~2歳児では、公立園の入所率は45%にすぎません。待機児童問題とは、施設や保育スキルが充実している公立保育園で保育士不足のため子どもを受け入れられていないという問題なのです。
この保育士不足は、過去に民営化を予定して少人数採用を繰り返したことが原因です。その結果、賃金をはじめ待遇面で大津市は県内でも高くなく大量採用に転換しても集まりません。事実、公立の新規採用保育士は、29名の募集に対し計39名の最終合格者を出しながら18名が他市へ流出し21名の採用にとどまりました。
フルタイム会計年度任用保育士に至っては、25名程度の募集で受験者は1人のみで採用はゼロです。抜本的な待遇改善で保育士を大幅に増やし公立保育園での子どもの受け入れを拡大することを基本に据えた保育政策が必要であり、その上で必要な民間園の新設を支援することが本筋と考えます。
▶子育て世代の期待に応える保育政策を
隠れ待機児童含む待機児童問題は育児休業明け保育の問題であり、子どもの保育を受ける権利とともに、親の就労を保障し子育てしやすい魅力ある大津市へ、集中的な取り組みが必要です。しかし、市は昨年、一番大事な乳児専門の逢坂保育園(70名定員)を実質閉園し、今年新たに3歳未満児の民間保育2施設の開設や来年度以降も中北部や石山に民間保育施設を複数募集し開設支援していく予定で、公立保育園を縮小し民間保育施設開設に力をいれています。
なぜ、本市の主体的努力でできる公立保育園の体制充実の方向をとらないのでしょうか。新たに施設整備する必要もなく、仮に100%受け入れられれば、待機児童は解消し、隠れ待機児童もほとんど解消できることになります。実質閉園にした逢坂保育園の再開と1~2歳児の入所率が低い公立保育園の重点的強化で、待機児童の解決の方向性はつかめるはずです。
このままでは、大津市では子育てはできないと言われかねません。待機児童対策を検証するべき6月議会では、残念ながら、私の他には目立った質問はありませんでした。本市の子育て施策に期待し転入されてこられる子育て世代の期待に応えるために隠れ待機児童を見据えた本気の保育政策が必要ですし、今後も求めていきます。
↑待機児童数 隠れ待機児童数を含めると21人増加
↓入所児童数と保育士数 公立保育園で保育士不足のため子どもを受け入 れられていない
- 子どもが保育を受ける権利と、保護者(親)が子育てと仕事を両立できる権利
憲法第11条 国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。
憲法第13条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
憲法第25条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
憲法第27条 すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。
〈トピックス〉
国民健康保険証 期限切れでも保険診療が受けられます(来年3月末まで)
期限切でも「国民健康保険証」は廃棄・返却せずに、通院時に活用しよう!
大津市の国民健康保険証は7月末で有効期限が切れます。これにともない、マイナ保険証をお持ちでない方には、保険証と同等の機能を持つ「資格確認書」が送付されます。国民健康保険の方は、8月以降は、本来は「マイナ保険証」か「資格確認書」のどちらかを持参しなければなりませんでした。
しかし、国は医療機関の窓口での混乱を考慮して、「国民健康保険証の有効期限切れに伴う『暫定的な取扱い』」(6月27日)を発し、今後来年3月末までは、失効した「国民健康保険証」を持参したり「資格情報のお知らせ」のみを持参して受診しても、医療機関が被保険者番号等によりオンライン資格確認等システムに資格情報を照会することで保険診療を受けられることになりました。
期限切れの国民健康保険証は廃棄・返却せずに、通院時は持参して活用しましょう。
◆請願の採決結果◆ 6月議会
「マイナ保険証の保有の有無にかかわらず国民健康保険被保険者に資格確認書の一律交付をすることを求める請願」……賛成5(平和と市民自治・中川、共産党) 否決
- 皆様。会ニュース36号をお届けします。
◆2025年6月議会◆
中川てつやの一般質問 6月16日(月)
皆様
6月議会での一般質問が終わりました。私は、6月16日(月)に行いました。多くの方に直接傍聴に来ていただいて、大変勇気をもらいました。ネット視聴してくださった方もおられます。大変ありがとうございました。
下記に一般質問の概略を報告します。
なお、末尾にあります質疑全文は、公式記録ではありませんのでご了承ください。
1.公立保育園の児童の受け入れ体制充実で待機児童解消に資することについて
この質問は、6月5日(木)の開会日に公表された今年の待機児童数等に基づき、急遽作成したものです。特に心配したのは、待機児童が52人、約3割減ったことをもって「待機児童が減ったから良かった」「公立園で0~2歳児の受け入れが増えた。逢坂保育園休園(実質廃園)などの取り組みの成果があった」というトーンで、市の待機児童対策の評価がされることでした。もしそうなると、対策の方向性を誤ると思うからです。
市の最重要課題として位置づけて取り組んだ待機児童は、実際には、待機児童数は昨年の全国最多の184人から52人約3割減少したものの、本年は132人で隠れ待機児童含めて537人と、高止まりで推移しているのです。待機児童の内訳は1歳児が79人、2歳児が50人、3歳児が3人となっています。1歳児が待機児童全体の6割を占める構図は昨年と同じです。また、隠れ待機児童でも全体405人のうち、1歳児が182人と45%を占めています。また、公立保育園全体では今年の受け入れ児童は12名減っており、0~2歳に限っては31名の増ですが、最も待機児童の多い1歳児は2名しか増えていません。
そして、一番、注目しなければならない点は、前年より隠れ待機児童が73人も増加し、待機児童と隠れ待機児童の合計である保留児童数では21人増えていることです。
また、公立の新規採用保育士は、29名の募集に対し63名が受験し計39名の最終合格者を出しながら18名が辞退し21名の採用にとどまりました。フルタイム会計年度任用保育士に至っては、25名程度の募集で受験者は1人のみで採用はゼロです。
こういう事態であるのに、市はほかの議員への答弁で「21名の採用で過去30年間で最多」と自画自賛していました。いや、ちがうでしょ。採用枠を過去最大の29名に増やしたのだから増えて当然ではないでしょうか。それより、合格者が18名も辞退したことが問題だと思います。
以上から、とてもじゃないが、「減ったから対策の効果があった」と一面的評価をしては、今後の方向性を見誤ります。
何度も言いますが、隠れ待機児童含む待機児童問題は育児休業明け保育の問題であり、子どもの保育を受ける権利とともに、親の就労を保障し、子育てしやすい魅力ある大津市にしていくため、その集中的な取り組みが必要なのです。なのに、民間保育施設の増設にばかり力をいれているようにみえます。
施設や保育スキル含めて充実している公立保育園の低い入所率64.5%、(0~2歳児に限って言えば、昨年より31名増えてもなお入所率は502人の定員に対して226人と45%しかありません!)を保育士を大幅に増やして改善しないといけません。まさに待機児童問題は、保育士不足で公立保育園で子どもを受け入れられていないという問題なのです。ここを抜本的に改善しないと解決の道はありません。その道筋があって、さらに必要な民間保育施設の整備をすることが必要だと思うのです。
そのことから、市の対策として、隠れ待機児童も含めて考えているのか、逢坂保育園休園による効果はあったのか、公立保育園重視の施策についての認識と重点配置、正規・会計年度保育士の待遇改善について質問しました。
※詳しい内容は、質疑全文をご覧ください。
しかし、答弁は、
・大津市こども・若者支援計画において、人口推計と保育ニーズから需要の見込みを算定しており、保留児童数を含めた保育の提供体制の確保に向けて対策を進めております。
・(再々質問後)その辺の資料ちょっと持っていないので、あれですけれども、その数字に基づいて事業を進めているところです。
※計画で算定していると言いながら、その数字については検証していない!!
・全園を通して0歳児から2歳児の入所調整を重点的に行い、その結果、低年齢児の受け入れ人数が昨年度と比べて約16パーセント増加し、待機児童の減少につながったものと考えております。
・議員お述べのとおり公立保育園の充実を図り、受け入れ人数を増やすことが喫緊の課題であると認識しております。※しかし、具体的施策がない。
・保育士の確保と地域の実情に応じた保育士の重点配置を行うことが大切>
・来年度の大津市保育士等の募集は教育保育職、36人の内訳は、保育士が30人、幼稚園教諭が6人。
隠れ待機含めた保留児童の観点から、しっかりと施策をつくらないと、増えている子育て世代が逃げてしまいます。今後も追及していきます。
2.必要とする世帯に必要な援助が届けられる就学援助制度の充実について
就学援助制度が十分周知されていない、または「申請のスティグマ」等により申請しづらいことを解消するために世田谷方式を参考に変更できないか、また生活保護基準の1.2倍から拡大をと質問しました。
教育長からの答弁は、
・まずは、現行制度の維持を優先することが重要であると考えております。として、変更する予定はないとのこと。しかし、一方で、「保護者の方がより申請しやすい方法となるよう、他の市町の実施状況についても情報収集を行ってまいります。」と言わざるを得ませんでした。
・世田谷区の全員提出方式で申請しやすい環境づくりを再質問したところ、「全員に申請書を配布回収すると、職員及び学校の負担がかなり増大し、入力等の設定作業にも時間を要するので現在想定していない。」と事務作業面で否定しました。しかし、人口95万人の世田谷区の1/3の大津市でできないはずがありません。
今後も、情報収集含めて追及します。
3.国民健康保険被保険者に資格確認書を一律に発行することについて
7月末に国民健康保険証の有効期限が切れることに伴い、資格確認書を全員に一律発行するよう求める質問をしました。
答弁は、
・マイナ保険証を持たない方に送付するためのシステム改修を既に終えており、全被保険者へ送付するためには新たなシステム改修費や別途郵送料が必要であることから、効率的ではない。
・現時点において再発行時に手数料を徴収することは予定しておりません。
・国民健康保険法第9条において、資格確認書交付対象者を「電子資格確認を受けることができない状況にあるもの」と定義していることや、マイナ保険証を利用することで様々なメリットがあることを踏まえ、一律に交付することは考えておりません。
(医療窓口の混乱の再質問)
・市民の方が直接そのお声も聞いていない状況です。またこれまで、医療機関等については、3者協議会等で意見を伺う場があるわけですが、直接そんな声は我々には届いておりません。
(通知の国民健康保険法第9条は理由にならない)
・やはり様々なメリットもあるということも踏まえて、一律に発行することは考えてない
現場の混乱は耳に届いていないという、客観的事実に背くものや国民健康保険法第9条は理由にならないという私の再質問には、マイナ保険証にメリットがあると、どうしても一律発行しないというかたくなな態度でした。しかし、メリットがあるなら、なぜ4人に3人は現行保険証を使用しているのでしょうか。論理的にも整合性のない答弁でした。
◆中川てつや 一般質問答弁全文(PDF) →こちらから
◆大津市議会議会中継システム →こちらから
※掲載の質疑は公式記録ではありませんので、ご承知ください
平和と市民自治のまち大津をともにつくる会/
中川てつや 事務所
〒520-0046 大津市長等二丁目8番2号
連絡先 中川てつや 090-7090-6579
〈長等商店街 フレンドマートはす向かい3軒目 いわみ果物店右隣り〉
京阪 びわ湖浜大津駅 徒歩8分 JR大津駅 徒歩13分
駐車場はありません。ナカマチパーキングや日赤向いのコインパーキングなどをご利用ください。
子どもや子育て世代、高齢者に優しい大津市をつくる署名
大津市長 佐藤 健司 様
給料や年金は上がらない中で、物価高騰がコロナ禍で痛めつけられた生活苦に、追い打ちをかけています。自治体の本来の役割は市民生活の維持・改善をはかってゆくことです。今だからこそ、子どもや子育て世代の方、高齢者の生活を直接支援する大津市独自の施策の実施が必要です。
以下の点を要請します。
要請項目
1. 学校給食費を無料化すること
2. 中学卒業時までの医療費を無料化すること
3. 大津市独自の大学生向け給付型奨学金を創設すること
4. 高齢者医療費自己負担に対する補助制度を創設すること
5. 大津市内の交通機関の高齢者交通費補助制度を創設すること
大津市民病院を大津市直営に戻し、医療を充実させる署名
大津市長 佐藤 健司 様
新型コロナウィルス感染症の大流行は、大津市民のみならず、全国民の健康を直撃し、死に至る患者を多く生み出しました。大津市においても、多くの患者さんが入院できず、自宅療養や宿泊施設での療養を強いられました。
その中で、感染症拡大時などに公立病院の果たす役割の重要性が改めて認識されました。
しかし、大津市民病院では今、出産ができなくなるなど、医療体制は十分とは言えません。これは、公立病院の大津市民病院を2017年4月に、独立行政法人化(実質民営化)し、利益優先の病院に変えてしまったからです。それ以降、大津市直営の市民病院のときは起きなかった医療危機が2度も起きています。
今後、新たな感染症等が発生しても、大津市民が安心して医療を受けられるようにするには、大津市民病院を名前のとおり大津市直営の市民病院に戻すことが必要です。また、少子化の時代にあっては、安心してお産ができ、新生児医療もできる病院が必要です。
以下要請します。
1.大津市民病院を地方独立行政法人から大津市直営に戻すこと。
2.大津市民病院で、分娩の再開や外科部門の維持存続など、地域医療の中核として質量と もに高い医療を提供できるようにすること。
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